[外観]appearance

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[部屋]room

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[生活]life

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[仕事]works

 

 

 

※参考文献


『沢田マンション物語』
  古庄弘枝著 情報センター出版局刊


『沢田マンションどっと混む』


『郵便配達夫シュバルの理想宮』
  岡谷公二著 作品社刊 


『シュヴァルの理想宮』

 

シンプルなカウンター素材と無料レンタルカウンターの「pitacount」 

 

 

 

  [沢田マンション]


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築界には天皇がいる。

広島平和公園や東京都新都庁舎など数々の日本を代表する建築を世に送り出した丹下健三である。

では、建築界に,神はいるのか・・・ 



 

1927年8月11日、高知の山深い寒村に、沢田家の長男として元気な男の子が誕生した。後に世界最大といわれるセルフビルド住宅(自力建築/業者に依頼することなく自身で建設する建築・住宅)を夫婦たった二人で建築することになる沢田嘉農さんである。

嘉農さんは12歳のときにJA発行の「家の光」という月刊誌に紹介されていたアパート≠ニよばれる集合集宅に衝撃をおぼえ、将来の職業としてアパートの建築と経営を決意する。

日頃、学校へ通いながら、母と一緒に弟、妹を面倒をみたり、農業を手伝う。そんな4戸の村に暮らす少年にアパート≠ニいう建物はどう映っただろうか・・・。

以来このアパート建築の夢は変わることなくライフワークになり、そしてその第一歩は、とてつもないスピードで現実のものとなる。

先ず、彼は尋常小学校を卒業すると、製材の仕事に就いていた祖父に頼みこみ、製材の機械と発動機(これは後にご紹介するが沢田マンション入り口に今も現役で設置されているヤンマー横型ディーゼルエンジンH型21馬力と同型の10馬力仕様だという)一式を譲り受け、移動製材の仕事を始める。

これは、山で切り出した丸太を、柱や板にするための加工作業だ。この、長い経験とカンを必要とする仕事を驚異的なスピードでマスターすると、27歳になった時、弟妹の手が離れた時期を機会に身一つで中村(高知の南西にある市。ここで四万十川は太平洋に流れ出している)という町に下り、極度に貧しい暮らしを続けながら地元製材所で働き始める。

と、ここで彼は、勤めに出ながら驚くべき行動に出る。建築や大工の経験まったく無しに住宅の建売販売を始めるのである。

地元の実業家に頼みこみ、不利で厳しい取引条件を受け入れ、20坪の田を、購入を前提に借り受ける。

そして、そこを四万十川から運んだ土砂で埋めると製材所を退職し、大工道具を買い、5坪の家を建てた。
この家は18万円で売れたという。家で得た利益で残りの土地に6畳10室のアパートを建てた。続いて隣の土地を買い増し、そこにももう一棟のアパートを建てる。

このアパートに入居していた裕江さんと知りあい、結婚。 様々な職を転々としながらも、100世帯の入居できる夢のマンション建設に向けて二人で邁進を始める。

一部外注を受けるが、それ以外は自分たちで建てて自分たちで管理するアパート経営、そして不動産業を仲介しての建売販売、直接販売等々、たった二人で建てに建てまくり、基盤を作った彼らは、1971年、高知市 薊野(あぞうの)に今の沢田マンションの土地550坪を手に入れ、本格的に夢の実現に取りかかる。

それから30余年、世界に類をみない手作りマンションは自己増殖を続け、昨年(このページを書いている現在は2004年)嘉農さんが亡くなられた今もなお建設が進んでいる。



・・・ここまでお読みいただき、気づかれた方もあるかと思うが、嘉農さんは小学校を卒業後、徴兵された一年間を除き専門的な教育を受けていない。
まさか日本軍で建築を学んだはずも無く、独学で家を建てアパートを建て、そしてマンションを造った。

そんなことができるのか?

こう思われる方も多いことと思う。
誠に失礼ながら、家は大工さん、工務店が建てる。ビルは建設会社が造る。そんな常識が染み付いている私にも信じられない事だった。
今回高知へ行くことになった理由に、このある意味での「疑い」(重ね重ね失礼)がまったく無かったとは言い切れない。

そして訪れた高知に一体何が待っていたか・・・



この項はそんな沢田嘉農さんと世界最大のセルフビルド建築 『沢田マンション』、そしてそこに暮らす羨むべき、楽しく幸せで天晴れな人たちを紹介する。




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